図書館にいたユニコーン
子どもの本を読む会で、お題に出された
『図書館にいたユニコーン』 徳間書店
マイケル・モーパーゴ作 おびかゆうこ訳
正直、1度目では良さがよくわからず。
本を読まない少年が、ユニコーンの置物の上で本を読んでくれる司書と出会い、本を好きになっていく。家族もそれを喜んでいた。しかし、戦火が村を襲う。命の助かった人たちは、燃える図書館から本を運び出し守ろうとする。数年後、図書館は元通りになり、皆が守った本も元に戻った。
実際のエピソードを元に作られたフィクションではあるけれど、
よくできたキレイなお話し…という印象がぬぐえず。
しかし、ちゃんと理解したいと思い、マイケル・モーパーゴの他の作品も読んでみる。
『戦火の馬』読みたかったけど借りられず・・・。
この3冊。
この人は、祖父の戦争体験を知ったことで、ものすごく平和への思いが強い人なんだと思いました。
史実を元にしているけど、読んだ後に希望が持てるようなハッピーエンドのフィクションを描いているところが、少しキレイゴトのように感じてしまったのかな。
実際に生きるか死ぬかの時に、本を守ろうと思うだろうか。
そう思ったのが、『バナの戦争』を読んだ後でした。
この本は、本当に心が痛い。
何不自由なく暮らしていた賢い女の子が、否応もなくシリア内戦に巻き込まれていく。
これは真実。
今もなお、シリアでは子どもたちは砲撃の音に怯えている。
「だからこそ、図書館を守ること、文化、芸術を守ることは大切なんだよ」
と、メンバーの1人がおっしゃった。
そうだ、絶望的な時だからこそ、希望が必要なんだ。
その象徴がユニコーンであり、本であった。ということか。
そう思えば、とても大切なことが書かれている本なんだ。
と、皆で侃々諤々、討論したからこそ理解できたこの本の良さなのでした。
同時にこんな本も読むといいかもね。
『この本をかくして』岩崎書店
マーガレット・ワイルド文 フレヤ・ブラックウッド絵
アーサー・ビナード訳 2017.6刊行
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